学生における経済活動は、現在の社会の仕組みではどうしても制限を受けてしまっている。
その一つが「キャッシング」である。
学生という身分故、審査が通りにくい現実があるのだ。
学生が審査が通りにくい理由はごく簡単なもので、社会的な批判と収入面での懸念が主な理由だ。
そんな中、孤軍奮闘で市場への挑戦を続ける企業がある。
それが「学生ローン」だ。
学生ローンは規模が小さく、大手消費者金融とは逆立ちしてもかなうわけがなない。
そこで生まれた発想が、大手と競合してしまう社会人を避け、顧客ターゲットを学生に絞ったのが学生ローンだ。
学生ローンは融資対象を学生に限定しており、大手との棲み分けを具現化した画期的なビジネスモデルである。
融資先を学生に絞った理由は、もちろん大手との競合を避けるのが大きな狙いの一つだが、実は多重債務者が少ない点と、焦げ付きが以外に少ないという特徴も大きな理由の一つだ。
学生の債務不履行は以外と少なく、しかも、あまり世間にしられてはいないことから、市場としてはまだまだ発展の余地がある事で注目をされている。
しかしながら、学生に対する貸付は依然として残ったままであり、このような状況で学生専門という市場に踏み切った学生ローンの投資スタイルは見習うべき点があるのかもしれない。
競合の激しい市場で戦うには、豊富な資金と根経験が必要である。
学生ローンが消費者金融ビジネスとして、本格参入を果たしたのが、1970年代だ。
この時代は現在では名だたる大手消費者金融が誕生した都市と合致する。
例えば、武富士(現在は倒産してしまっているが)やアコム、アイフル等、今では誰もが知る大手消費者金融は、この時代に誕生した。
1970年台は、いわば消費者金融元年でもあるのだ。
学生ローンは、そんな時代に生まれた異端児ともいえる街金なのだ。
●誕生の経緯
学生ローンは実は3人の兄弟が高田馬場で始めた事で知られている。
最初の第一号は、高田馬場で現在も営業中のフレンド田である。
ここが出発点となったが、やがて3人の兄弟がそれぞれ独立し、現在の「アミーゴ」・「キャンパス」・「イーキャンパス」と、「カレッヂ」に分かれた。
アミーゴ・キャンパス・イーキャンパスは同一経営者であり、系列店となるが、フレンド田トカレッヂは完全に独立した会社である。
兄弟同士とはいえ、同業ライバルとした構図となっているところが面白い。
●顧客数の増大と低単価
過払い金返還請求と貸金業法改正により、貸金業者が激減する中、学生ローンの存続率は極めて高い。
その最大の要因は、利用者の数を伸ばし、一人当たりの貸付額を下げ、単価率が極めて低い水準にある事が挙げられる。
これは全ての商売に言える事だが、とにかくお客の数を増やして単価を低く抑えることはリスクを分散することになり、安定した営業を継続することにつながるのだ。
貸金業者の最も危険なパターンは、一人のお客に大きな金額を貸しつけ、顧客単価を上げる事だ。
これは、もしその顧客が貸し倒れとなった場合、被害が大きくなり、リスクが大きい。
株などの投資も同じことで、1つの銘柄に全力買いするのと、ジャンルの異なる銘柄を分散投資するのとでは、後者の方が正しい投資法といえるのだ。
1つに全力買いした場合、たしかにIRなどで一攫千金も夢ではないが、悪材料が出たときは甚大な損害を被る事に繋がる。
なにごとにおいても、分散投資が基本なのだ。
業績の悪い貸金業者では、新規客の獲得がなかなか難しく、どうしても一人の顧客に対する融資額が大きくなりがちだ。
債務者の長期延滞率は統計的にどこも同じになるはずで、貸付金額が大きければ大きいほど回収は困難となる。
こうなると必然的に貸し倒れが多くなり、新顧客の伸び率低下と合わせてダブルパンチを喰らう事になり、結果として倒産に追い込まれる貸金業者が続出する流れが現在の貸金業界の構図だ。
そこへ過払い金返還請求も重なり、貸金業者の数は年々減少傾向にある。
貸金業界は今、まさに苦境に立たされている業者が大多数を占めているが、学生ローンは意外にも被害は少ない方であると考えている。
●学生ローンが比較的好調な理由
学生ローンの好調な主な要因として、過払い金返還請求が一般の消費者金融と比べ、遥かに少ない事が挙げられるだろう。
では、一体なぜ学生ローンは過払い金返還請求が少ないのか?
これは学生ローンならではの「利用期間の短さ」が大きな要因の一つとして考えられている、
過払い金は利用期間が長ければ長いほど発生しやすく、その金額も年数と残高に比例する。
学生ローンは、大学などの在籍期間が留年を除けば4年間である。
短大生や専門学校生に至っては2年間だ。
学生ローンは学校卒業後も継続して利用できるが、ほとんどの場合は在学期間中に完済してしまう。
もしくは、規模の大きい貸金業者に乗り換えるケースも多い。
完済する学生については、「学生のうちに完済しなければいけない」という誤解と、就職前に借金を整理しておきたいという心理が働く為と思われる。
規模の大きい消費者金融に乗り換える学生が多いのも、上記の理由に加え、社会人となった事で大手消費者金融の審査が通りやすくなるという点も作用しているとみられる。
なぜ大手に乗り換えるかだが、利用限度額が学生ローンよりも枠が大きい場合が多いこと、全国のATMが利用できる点などが挙げられるだろう。
こういった理由により、学生ローンの利用者は利用金額も少ない上、利用期間が短いという特徴があるのだ。
一方、大手の消費者金融はというと、利用金額も大きく、期間も遥かに長い。
利用年数が数十年というのもザラだ。
こういったことが原因で、大手の貸金業者は過払い金返還請求等で多くの課題を起こしているのが実情なのだ。
学生ローンと大手消費者金融の明暗は、こうした事が要因となり、大きくその道が分かれる事となったのである。